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■途中7現場で黙とうや献花
 当日は遺族ら小学生から七十歳まで約百四十人が参加。午前九時に霊山町石田の一一五号国道の事故現場で出発式を行い、慰霊をしたあとスタートする。各自が犠牲者への思いを胸にしながら、思い思いのペースで歩道を歩く。
 途中、霊山町や福島市内で以前に起きた他の死亡事故の現場七ヶ所でも、黙とうや花をささげる。常円寺に到着後、犠牲者に対する「祈りと誓いの式」を実施し、故人のことを胸に刻み、事故防止を誓い合う。


 つらい気持ちを抱える交通事故の遺族をこれ以上増やしたくないー。交通安全への切実な願いを込めた「いのちをみつめる一日行脚」が十七日、霊山町から福島市までの二四.五`で行われる。昨年五月、中学校の同級生の少年三人が亡くなった交通事故の遺族や友人の悩みを聞いた福島市山口の常円寺副住職阿部光裕さん(四〇)が、所属する福島21ロータリークラブの会員らと企画した。遺族や友人、ロータリアンら約百四〇人が、三人が亡くなった霊山町の事故現場から常円寺まで、他の死亡事故現場での供養をしながら祈り、歩く。
 悲劇は昨年五月二十九日朝、霊山町石田の一一五号国道で起きた。相馬市に向けドライブしていた福島市岡部の渡辺健さん=当時(一九)=ら、福島三中の元同級生三人が犠牲になった。
 健さんの母貴子さん(四一)にとっては、絶望の日々の始まりだった。成人を間近に控えた息子に抱いていた夢や希望を突然失った。その喪失の悲しみを誰かに聞いてほしくて、健さんの葬儀を行った阿部さんの元を訪れるようになった。
 健さんの死は同級生にとってもショックだった。阿部さんの寺を訪ね「交通事故のニュースを見るたびに健君らを思い出す。今度は自分が事故に遭うかも」と不安を打ち明ける若者もいた。 阿部さんは遺族や同級生の訴えに「死を正面から受け止めて生きることが大事」と諭してきた。そして肉親や友の死を受け入れ、悩みのふちから一歩踏み出す区切りの行動として、行脚を呼び掛けた。

 行脚には健さんの家族、友人をはじめ、他の二人の犠牲者の関係者も加わる。阿部さんの所属する福島21ロータリークラブが呼び掛けると交通事故の悲惨さをあらためてかみ締め、周囲にも問い掛けようと他の県北のロータロークラブからも参加することになった。
 貴子さんは「肉親を失った遺族と一緒に事故現場を歩くことで、多くの人に家族を失う悲しみを感じてもらいたい。それが日常の安全運転につながってほしい」と胸中を語る。
 阿部さんは、「車の運転は、巨大な鉄の塊を動かしているのと同じこと。この認識を運転者に持ってもらい、死亡事故を減らすために、犠牲者をしのぶ行脚を今後も続けたい」と話している。

※本文は福島民報社様の紙面記事を使用しています。ご協力ありがとうございます

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